巻頭の言葉

   1枚の葉とCDではどちらが情報量が多いですか

                 近畿大学教授   桜谷 保之
 右の図は1枚のエノキの葉です(ただし、実物のコピー)。
木の葉に関して問題を出したいと思います。この1枚のエノキの葉から肉眼でわかることを、全部書きなさい。                                      
 図は描かずに言葉だけで書いてください。必要に応じて物差しを使って長さなどを測定してもかまいません。では挑戦してみましょう。葉の輪郭は卵形。裏と表がある(あたりまえと思うかもしれませんが、植物の葉には裏しかないものもあるのです。アヤメなどは葉が2つに折れて表どうしがくっついて、裏しか見えません)。葉柄が1本ある。主脈も1本あり、それは葉柄につながっている。側脈は右が3本、左が4本である。側脈の本数や出かたは裏も同じ。側脈は葉の縁まで達していなく、縁の手前で袋状になっている(縁まで達しているのはクヌギなどで、よく観察しないと間違ってしまいます)。葉の縁にはギザギザ(鋸歯)があり、その数は右で 17、左で14である。側脈と側脈の間には網目状の脈が多数(もちろん有限)ある。葉は緑色。葉身の長さは77mm。最大幅は47mm。右の側脈の長さは1本目(葉柄に近いほうから)が52mm。2本目が32mm・・・・。
 などと書き出していきますと、本当にきりがないほど書けるにちがいありません。もちろん、それぞれの記載は生物学的にどんな意味があるのかは、ここでは問わないことにします。(なんらかの意味はあるはずですが)。肉眼だけでも本当にたくさんの情報を得ることができるでしょう。そして、顕微鏡を使ったら細胞の様子も見え、情報量は格段に増加するはずです(300年前でしたら、大発見なのですが)。
 さらに、最新の分析技術を使えば、タンパク質やデンプンの量もわかってしまいます。もちろん遺伝子や、DNA、RNAのことも・・・・。こうして、1枚の葉の持っている情報を全て書いていくとしたら、何百ページいや何万ページもの本が出来上がるかもしれません。CD1枚の情報量どころではないはずです。そして、こうした葉をたくさん付けている1本の木のレベル、木が集まった林のレベル等々いろいろなレベルでみると、その情報量は莫大なものになるはずです。自然が秘めているほとんど無限に近い情報をどのように引き出すか?・・・・。それは、私たちの観察力や科学の力にかかっているのです。各時代、科学者たちは細胞、DNAなどといったいろいろな情報を引き出してきました。たった1枚葉でも、まだどんな情報がかくされているか分かりません。

                            目 次

講演会報告
「自然と心」生きることと自己肯定感 高垣 忠一郎(立命館大学教授)
調査研究報告
ドングリ(団栗)を科学する 村田 源(元京都大学講師) 
京田辺尾根筋ハイキングルートを歩いて 光田 重幸(同志社大学助教授)
「瑞穂の国」の沈没 渡辺 信夫(立命館大学講師)
伊根町にオオキンレイカを訪ねる(第2報) 上島 裕(本会顧問)
京田辺の天井川いろいろ 太田 史
「三つ目マンボ」の不思議 山村 武正(常務理事)
調査報告と市民マラソン 山村 武正(常務理事)
協働活動報告
城陽市高齢者への学習協力(6月24日及び25日)
「木津川植生環境維持作業」を受諾 山本 雅晃(理事長)
京田辺尾根筋ハイキングルート(仮称)解説の取組 山本 雅晃(理事長)
「NPO活動促進フォーラム」の企画を担当 山本 雅晃(理事長)
事業報告
野草を食する会(4月4日)
大阪市立大学付属植物園散策(5月15日)
田植え作業(5月23日)
柿の摘果(花)作業(5月3日)
昆虫観察会とホタルの夕べ(6月6日)
第8回木津川清掃ウォーキング(6月12日)
夏の昆虫観察会(6月27日)
夏休み子供自然観察会(大阪府箕面昆虫館)(7月25日)
田んぼの草刈(8月1日)
ツバメの大群舞(ねぐらいり)観察会(8月7日)
木津川花観察とウォーキング(9月12日)
稲刈り作業(9月19日)
どんぐりで遊ぼう(9月25日)
第7回里山講演会(10月3日)
ロボット製作教室の報告(8月28日・29日)
「週間ニュース」を発刊
会員の広場
モンゴルにモンゴリナラを植える 上島 裕(京都市)
ルリタテハもみつけたよ 姫野 諒太郎(美濃山小学校)
覗いてみました越冬昆虫の暮らし 黒光 洋子(京田辺市)
木を伐るのは半世紀ぶり 上島 裕(京都市)
植物園見学 岡田 ゆき子(京田辺市)
田植えの感想 藤岡 敏史(三山木小学校)
昆虫観察とホタルの夕べに参加して 藤岡 敏史(三山木小学校)
やったー!ミドリシジミ発見 新川 晃文(薪小学校)
心がけよう!!日々の清掃を 坂田 一郎(京田辺市)
オオサンショウウオを見ました 姫野 友昭(八幡市)
ふるさとからの情報発見 薮内 亘(横浜市)
昆虫館に行きました 黒光 香菜子(菟道小学校)
ツバメのねぐら 萩原 隆江(茨木市)
初めての木津川花観察会に参加して 玉田 尭(交野市)
花と出会いを求めて 栗原 光吉(枚方市)
ロボット教室に参加して 田中 慧 
ロボット教室に参加して 太田 瑛子
四季に恵まれて 中尾 委佐子(京田辺市)
メダカの学校 林 茂子(京田辺市)
ミニ自然通信 コゲラ 野村 治(京田辺市)
新しいハイキングコース設定を願う 植西 晃千(京田辺市)
ふるさとについて 藤田 捷正(京田辺市)
夏山に行って来ました 04 村田 源人(井手町)
癌の告知 岡野 俊治(城陽市)
お茶のウンチク 伊藤 喜昭(京田辺市)
山門水源を歩いて 藤ノ井 律夫(京田辺市)
健康があって将来が開ける 深川 三郎(城陽市)
人生を肯定的に生きたい 楠本 倫子(奈良市)
人間性を感じて感動 女性(49歳)
資料
村田源先生(本会顧問)が学会賞を受賞
新聞報道記事紹介
インターンシップ終了報告
伝えたいたなべの味(その3)
植物おもしろクイズと解答
寺田地区(城陽市)の終戦直後の状況
マンボ(水路橋)伐採申し入れ書
新入会員
あとがき