巻頭言
基礎調査の充実を
顧問 光田 重幸
はじめに、皆さんに質問です。自然を護るには、人手を加えずに放っておくのがよいか、人が積極的にかかわった方がよいか?
以前なら前者、またはケース・バイ・ケースという答えのほうが多かったと思います。しかし、今ではこれは非現実的と言わざるを得ません。原生林の代表とされる屋久島においてさえ、増えすぎるシカのため、多くの植物が絶滅寸前にまで追いやられています。もともと屋久島には、シカの天敵あるニホンオオカミはいませんでした。シカが異常に増えたのは、シカ猟がほとんど無くなったこと、スギ植林地を含めてシカの餌となる若木が豊富にあることによります。
放っておけば、シカの餌がなくなるまえに、多くの植物が絶滅すると思われます。
「自然を管理する」と言う言葉が日本人にはなじみにくいのは事実でしょう。しかし、開発であれ植林であれ、人が自然を利用する限りは、日頃から注意しないと自然の生物は護れないのです。いや、開発を完全にやめても、人間の異常なまでのエネルギー消費が続く限りは、自然は管理しなければ護れないかもしれません。
もうすこし、わかりやすのは、「毒をもって毒を制す」という考えかたです。京都市北区にある国指定天然記念物「深泥ヶ池水生生物群集」は、多くの外来生物のため、絶体絶命の危機が続いています。この数年、市民団体中心にオオクチバスやブルーギル、ナガバオモダカなどの除去がおこなわれ、やっと改善のきざしが見えてきました。しかし、やはり外来生物であるカムルチーは、捕らえられても再び放流されます。カムルチーの繁殖力はバスやギルに比べて弱く、カムルチーがバスやギルの幼魚を食べてくれるからでです。
このような作業ができるのは、池の生物が、その変動を含めて、詳しく調査されているからです。どんな種類がいるか、どおいう生活をしているのかがわかって、初めてこおいう手段が採れるといえます。里山でも同様で、日頃の地味な調査の積み重ねなしに、将来の大きな成果は望めません。標本作りや個体数調査は、手間のかかる地味な作業ですが、「やましろ里山の会」も今後重点的に取り組む必要があるでしょう。多くの方々の協力をお願いする次第です。
| 巻頭の言葉 基礎調査の充実を 本会顧問(同志社大学助教授)・・・光田重幸 講演会 第8回「自然と環境」講演会 琵琶湖淀川流域の水環境と水の大切さ 琵琶湖・淀川水質保全機構常務理事・事務局長・・・穂波宣員 紙芝居「甘南備山の三つの石の秘密」 同志社大学経済学部1回生・・・・・・・・・・・・・・・・・・・松山由布子 |